AIエージェントを番号1つで呼び出すランチャー活用術
複数のAIエージェントを運用する中で生まれた「たまに自分で触りたい」を解決するため、macOS用のエージェントランチャーをAI自身に作らせた体験談。権限エラーの解決方法も紹介します。
- 複数のAIエージェントを自動運用する中で、「提案書の動画化」「自社HP」「ブログ・note投稿」など、たまに自分で触って指示を出したいエージェントが出てくる。
- Claude Codeはフォルダに移動してから起動する仕様のため、その都度パスを指定する作業が地味に面倒だった。
- そこでフォルダとプロジェクト名を登録しておき、番号を選ぶだけで起動できる「エージェントランチャー」をAI自身に作らせた。
- 実行時に出た権限エラーも、エラー画面のスクリーンショットをAIに渡すだけで解決策を教えてもらえた。
情報の基準日:2026年8月23日時点
「今日も気づいたら何本もエージェントが動いていた」——最近、社内ではそんな状態が日常になってきました。時間が来ると自動で走るエージェントが増えるほど便利になる一方、「あのエージェント、今どこにあったっけ」と手が止まる瞬間も増えます。今回はその中で生まれた小さな不便を、AIエージェント自身の力を借りて解消した話を紹介します。士業のみなさんに直接関係する話ではありませんが、複数のAIエージェントを日常的に使う上での工夫として読んでいただければと思います。
複数のAIエージェントを運用する中で見えてきた「たまに自分で触りたい」
現在、社内では複数のエージェントを作成し、日々動かしています。基本的には時間が来ると自動で実行されるものがほとんどで、人が都度指示をしなくても仕事が進んでいく状態を目指して構築してきました。
ただ、すべてを完全に自動化しきれるわけではありません。例えば次のようなエージェントは、完全放置ではなく、時々自分で触ったり指示を出したりしたい場面が出てきます。
- 提案書を作成し、そのまま動画にまで仕上げるエージェント
- 自社ホームページを改修するエージェント(基本は自動更新だが、直接指示を出したいことがある)
- ブログやnoteへの投稿エージェント(ほぼ自動化しているが、アイデアが浮かんだときはAIの力を借りながら自分で指示を出して書くこともある)
こうしたエージェントに触るたび、ターミナルを開き、対象のフォルダへcdで移動し、起動コマンドを打つ、という一連の作業が発生していました。1回だけならなんてことはない作業ですが、日に何度も繰り返すと、じわじわとストレスになっていきます。
Claude Codeはフォルダ移動が前提の仕様
私たちが主に使っているのは、Anthropicが提供するターミナル型のAIエージェント「Claude Code」です。公式ドキュメントにある通り、対象のプロジェクトフォルダに移動してからclaudeと入力するだけでセッションが始まる仕様です(2026年8月23日確認)。CLIリファレンスにも同様の説明があり、「フォルダに移動してから起動する」という前提そのものは変えられません(2026年8月23日確認)。
裏を返せば、面倒だったのは起動コマンド自体ではなく、「エージェントごとにフォルダの絶対パスを覚えて、毎回そこへ移動する」という手前の工程でした。エージェントの数が増えるほど、このひと手間の積み重ねが無視できなくなっていきます。
AIに「エージェントランチャー」を3分で書かせる
そこで思いついたのが、フォルダをあらかじめ登録しておき、番号を選ぶだけでその場所に移動してエージェントが起動する仕組みでした。AIエージェントランチャーとは、フォルダとプロジェクト名の一覧を先に登録しておき、番号を選ぶだけでその場所へ移動し、AIエージェントを自動で起動する、自作のターミナル起動スクリプトのことです。
私はMacを使っているため、シェルスクリプトを組めば実現できると考え、AI(Claude)に要望を伝えました。
- あらかじめ「フォルダのパス」と「プロジェクト名」の対応表をスクリプト内に持たせる
- ダブルクリックするとターミナルが起動し、プロジェクト名の一覧が番号付きで表示される
- 番号を入力すると、対応するフォルダに自動で移動する
- そのままAIエージェントの起動コマンドが実行される
この一連の流れを実現するエージェントランチャーの土台は、AIによってものの3分ほどで書き上がりました。人がゼロから仕様を詰めて実装するとなるとそれなりに時間がかかりそうな内容ですが、「やりたいこと」を言葉で伝えるだけでここまで一気に形になるのは、率直に驚きがありました。
権限エラーはスクリーンショット1枚で解決した
もっとも、書いてもらったエージェントランチャーはすぐには動きませんでした。ダブルクリックして実行しようとすると、macOSの権限まわりの問題で起動できなかったのです。
ここで自己流に調べ回るのではなく、表示されたエラー画面をそのままスクリーンショットに撮り、「このエラーを回避してほしい」とAIに渡してみました。すると、実行権限を与える具体的なコマンドと、macOSのシステム設定側で許可する手順を教えてもらえ、その通りに実行するとあっさり解決しました(2026年8月23日確認)。
これはAppleの仕様上、署名のないスクリプトをダブルクリックで実行しようとすると、セキュリティ保護のために一度ブロックされる挙動によるものです。Apple公式も、この確認をむやみに解除することはマルウェア感染の一般的な原因になると案内しており、素性の分からないファイルには同じ操作をすべきではありません。今回は自分たちで中身を把握しているスクリプトだったからこそ、安心して許可に進めました。
解決後は、ダブルクリック一つでターミナルが起動し、番号を選ぶだけで目的のAIエージェントがそのまま立ち上がる仕組みが完成しました。日々何度も発生していた「移動して、起動して」という一手間がなくなり、体感としてはかなり作業がスムーズになりました。
導入のハードルと向いていないケース
エージェントランチャーは便利な一方、注意点もあります。スクリプトの中身を自分で把握しないまま、AIが書いたコードを無条件に信頼して実行するのはおすすめしません。今回のように権限エラーを許可する操作は、素性の分からないスクリプトに対して行うとセキュリティ上のリスクになり得ます。中身を確認できる、自分(または信頼できるメンバー)が作ったスクリプトに限定して使うのが安全です。
また、エージェントの数が数個程度であれば、毎回cdで移動しても大きな負担にはならないかもしれません。この仕組みが効いてくるのは、日常的に触るフォルダ・エージェントがある程度多く、移動先を覚えておくこと自体が負担になってきたタイミングです。
まとめ
複数のAIエージェントを自動運用していると、「基本は自動、でもたまに自分で触りたい」というエージェントが必ず出てきます。今回は、その都度フォルダへ移動して起動する手間を、AIに自作のエージェントランチャーを書かせることで解消しました。権限エラーで動かなかった場面でも、エラー画面のスクリーンショットを渡すだけで解決策を教えてもらえたのは、非エンジニアの立場からするとかなり心強い体験でした。同じように複数のAIエージェントを運用している方は、ぜひ自分用のランチャーづくりを試してみてください。似た発想でAIにツールを作らせた事例として、ExcelマクロをWebアプリに変換した記事もあわせてご覧ください。
株式会社Cosmico(東京都西新宿)では、複数のAIエージェントを組み合わせた業務自動化の設計・構築を支援しています。