行政書士・司法書士の生成AI活用|前工程の公開事例を整理
行政書士・司法書士の事務所で、ヒアリングの文字起こしや添付書類の整理など「前工程」に生成AIをどう使うか。公開されている解説と事例を整理し、守秘義務の入力前チェックや数値の読み方も、確定情報と筆者の整理を分けて紹介します。
- 公開されている解説では、行政書士・司法書士の生成AI活用は「申請書そのもの」より「前工程」が中心とされています。
- 前工程とは、文字起こし、要件の初期把握、添付書類の整理などです。
- 一人事務所の公開事例では、メール下書きが1通4〜5分から約1分になったと紹介されています。ただし1件の事例です。
- 戸籍等を扱うため、入力前の守秘義務チェックが前提です。
- 本記事は公開情報の整理で、当社の取材・調査ではありません。
情報の基準日:2026年10月27日時点
打ち合わせのあとの机には、メモと録音データと、集めきれていない書類のリストが残りますよね。
この記事では、公開されている解説や事例を手がかりに、行政書士・司法書士の事務所が生成AIを「前工程」にどう使っているかを整理します。
行政書士・司法書士の「前工程」とは
結論:前工程とは、申請書や登記書類を作る前の、聞き取り・調査・書類集めの段階を指します。
ここでいう前工程とは、依頼を受けてから本番の書類作成に入るまでの準備作業のことです。筆者の呼び方です。
公開されている行政書士向けの解説(AI PICKS、2026年6月公開・9月更新)は、次の作業を生成AIの使いどころとして挙げています。
- 文字起こし・要約
- 許認可の要件の初期把握
- 添付書類のチェックリスト化
司法書士向けの解説(Hakky Handbook、2026年9月最終更新)でも、相談内容の要点化や議事録の作成が紹介されています。
ヒアリングの文字起こしと要約
結論:行政書士向けの解説は、文字起こし・要約を「最も効果が出やすい用途」としています。
同じ解説は、数字や固有名詞は取り違えやすいため原資料との突き合わせが必要だとも述べています。
要約を読み返して、金額の聞き間違いに気づいてヒヤリとする。そんな朝もありそうです。これは筆者の想像であり、事例の内容ではありません。
ここからは筆者の整理です。文字起こしと要約はAI、金額・日付・名称の確認は人という分担が無理のない形です。
要件の把握と添付書類のチェックリスト化
結論:許認可の種類から必要書類を一覧化する使い方が紹介されていますが、そのまま使うのは危険だとされています。
一方で、AIが古い様式や廃止された制度を混ぜることがあるため、所管官庁の公式情報との照合が必要だとしています。
一覧にあった様式が官庁のページに見当たらず、戸惑う場面も想像できます。これは筆者の想像であり、事例の内容ではありません。
ここからは筆者の整理です。**AIの一覧は「抜け漏れを見つけるための叩き台」**と位置づけるのが安全です。
許認可の可否など、判断が必要な部分は人の仕事です。最終判断は行政書士等の専門家へ。
司法書士の書類は「読み取り」から
結論:戸籍や登記事項証明書は、AI-OCRで文字にして整理の土台にする使い方が中心とされています。
AI-OCRとは、紙や画像の書類の文字をAIで読み取り、文字データに変える技術のことです(OCRの解説)。
司法書士向けの解説では、戸籍・住民票・登記事項証明書を読み取り、下書きや整理の土台にする使い方が中心とされています。
注意点も書かれています。これらの書類には氏名や住所などの個人情報が含まれるため、外部のAIに入力する前に、匿名化や社内利用の可否を確認する必要があるとされています。
読み取り結果は、必ず原本と見比べるのが基本です。
最終判断は司法書士等の専門家へ。
守秘義務は「入力前チェック」で守る
結論:依頼者の情報は、学習に使われない設定を確かめてから入れる、が公開解説の共通の考え方です。
行政書士向けの解説は、依頼者の機微情報は学習に使われない法人プランやオプトアウト設定を前提に扱うべきだとしています。
急いでいると、録音を無料ツールへ入れかけて手が止まる。そんな瞬間もありえます。これは筆者の想像であり、事例の内容ではありません。
筆者の整理では、入力前に、学習設定の確認、氏名・住所の伏せ字、出力と原資料の突き合わせの3点を習慣にすると安心です。
また、申請理由書などでAIが「通りやすい表現」を盛ってしまうことがあり、事実に基づいて直すのは人の役割だとされています。
公開されている一人事務所の事例と、数値の読み方
結論:メール下書きが4〜5分から約1分になったと紹介されていますが、1件の事例として読みます。
2026年4月、AI導入支援会社が、一人で運営する司法書士行政書士事務所の事例を公開しました。以下は出典で語られている内容です。
- Gmailに備わるAI機能で、メール下書きが1通あたり4〜5分から約1分になった(見出しでは「約75%削減」)
- 勉強会資料を取り込んだ事務所専用のチャットボットを作った
不安だったハルシネーション(事実と異なる出力)は、根拠を確認できるツールを選ぶことで解消されたと述べられています。
ここからは筆者の整理です。この数値は一人事務所1件の事例で、本人の計測に基づくと読み取れます。第三者による検証は確認できていません。
数字の大きさに、つい期待してしまう方もいそうです。これは筆者の想像であり、事例の内容ではありません。
「どの事務所でも75%減る」とは読めません。数値は参考値として、自事務所で測り直すのが安全です。
向いていないケースと、最初の一歩
結論:判断そのものが必要な場面や、個人情報を外に出せない案件は、AI任せに向きません。
向いていない場面(筆者の整理)は次のとおりです。
- 許認可や登記の可否の判断そのもの
- 学習設定を確認できないツールでの、機微な書類の扱い
最初の一歩は、文字起こしだけ、メールの下書きだけといった小さな範囲が無理がありません。
AI活用の進め方でお悩みの方へ
結論:どの業務から試すか迷うときは、外部に整理を頼む選択肢もあります。
上記の事例や解説は当社の支援先ではありません。
西新宿を拠点にAI・DX導入支援を行う株式会社Cosmicoには、「どの業務から試せばよいか」というご相談が届きます。整理から始めるなら、AI戦略コンサルティングや生成AI活用の研修も選択肢の一つです。
司法書士事務所の登記業務での生成AI活用、行政書士の建設業許可申請での生成AI活用、生成AIの解説もご覧ください。
まとめ
公開されている解説では、活用は文字起こし、要件の初期把握、書類の整理といった前工程が中心です。
一方で、AIの一覧には古い情報が混じることがあり、個人情報にも注意が必要です。数値は1件の事例として読み、最終判断は人が行います。
まずは一つの前工程に絞って、作業時間を測りながら試してみてはいかがでしょうか。
出典・確認日
- 行政書士事務所のAI活用の実務解説(AI PICKS、2026年6月公開・9月更新)(確認日:2026年10月27日)
- 行政書士事務所のAI活用2026・9つの仕事と落とし穴(AI PICKS)(確認日:2026年10月27日)
- 司法書士業務のAI活用の現状(Hakky Handbook、2026年9月25日最終更新)(確認日:2026年10月27日)
- 司法書士行政書士事務所のAI導入事例(ブーストエックス、2026年4月公開)(確認日:2026年10月27日)