freee確定申告のChatGPTアプリを整理|税理士事務所の相談対応への影響
freeeがChatGPT向けに公開した「freee確定申告」アプリ。公式発表で確認できる仕組みと、記載のない点を分けて整理し、税理士事務所の相談対応にどう関わりうるかをまとめます。
freee確定申告のChatGPTアプリを整理|税理士事務所の相談対応への影響
- freeeは2026年2月17日付で、ChatGPT向けアプリ「freee確定申告」の提供開始を発表しています。
- 回答は生成AIが新しく作るのではなく、税理士による1万件以上の過去の回答から該当部分を提示する仕組みと説明されています。
- 料金や利用条件、免責事項は、確認した公式発表に記載がありません。
- 本記事は公開情報の整理であり、当社が取材・調査したものではありません。
情報の基準日:2026年11月6日時点
確定申告の時期、顧客から届く「これって経費になりますか?」というメッセージに追われていませんか。
この記事では、freeeが公表したアプリの中身を、公式発表で確認できたことと、筆者の整理に分けて見ていきます。
freee確定申告アプリとは:公式発表で確認できること
freee確定申告アプリとは、ChatGPTの中で使える確定申告向けのアプリであり、freee株式会社が2026年2月17日付で発表したものです。
発表によると、「Apps in ChatGPT」という形式で提供され、入力欄に「@freee確定申告」と打ってから質問を送ります。
連携先として、freee会計のAI機能、入力代行の「入力おまかせプラン」、税理士検索への遷移が挙げられています。
一方で、対象プラン・料金・利用条件・注意事項は、確認した発表ページに記載がありませんでした。
たとえば、顧客に「そのアプリ、無料ですよね?」と聞かれたら、答えに詰まるかもしれません。条件は、必ずfreeeの公式情報で確認してください。
回答の仕組み:「AIが作る」のではなく「税理士の回答を探して示す」
公式発表では、このアプリは生成AIが新たに回答を作るのではなく、税理士の過去の回答から該当するテキストを探して提示する仕組みと説明されています。
元になるのは、freeeの「税理士相談Q&A」に蓄積された、税理士による1万件以上の実際の回答です。回答者の氏名と所属も表示されると説明されています。
ここは、生成AIの使い方として押さえておきたい点です。
生成AIが自由に文章を作る場合は、ハルシネーション(もっともらしい誤り)の心配があります。既存の回答を探して示す形は、その心配を和らげる設計と読めます(筆者の整理)。
ただし、「1万件以上」がいつ時点の件数か、制度改正時の扱いは、発表から読み取れません。
見出しの「不安をゼロに」は宣伝文です。効果や精度を保証する記述ではない点に注意しましょう。
たとえば、顧客が画面を見せて「うちも同じ扱いですよね?」と尋ねる場面。回答者の名前があると、つい信頼しがちです。
税理士事務所の現場では:公開されている活用の例
公開されている寄稿では、ある税理士法人が、医療費控除の明細書づくりに生成AIを使った例が紹介されています。
出典は、2026年3月19日掲載の税理士向け媒体の寄稿です。令和7年分の確定申告で、医療費の領収書をAIに取り込み、明細書を作成したと書かれています。
従来はスタッフがExcelで集計し、検算を重ねていたそうです。入力と集計の時間は「大幅に短縮された」とされています。
ただし、削減時間や削減率などの具体的な数値は、寄稿に記載がありません。
同じ寄稿では、次の3つは税理士が最終判断する必要があるとされています。
- 対象外となる支出の判定
- 扶養関係の確認
- 制度を適用できるかどうかの判断
たとえば、領収書の束を前に「これは対象外かもしれない」と手が止まる場面。集計が楽になっても、そこで悩む時間は残ります。
AIはあくまで補助で、判断の責任は税理士にあるという整理です。医療費控除の詳しい進め方は、医療費控除とAIでも触れています。
相談対応にどう関わりうるか(筆者の整理)
ここからは公式発表にない、筆者の整理です。顧客が先に調べる流れが広がると、相談の入り口が変わる可能性があります。
たとえば、架空の「山田税理士事務所」に、個人事業主の顧客から「アプリでは経費になると出ていました」と連絡が来たとします。事情を聞くと前提が違っていて、説明をやり直すことになるかもしれません。
一方で、質問の前提がそろった状態で相談が始まる場面もありえます。
備えとしては、「一般論」と「個別判断」を分けて伝え、事情を聞き直す時間を確保しておくことが考えられます(筆者の整理)。顧客の利用状況は裏付けがなく、「必ずこうなる」とは言えません。
向いていないケースと注意点
良い面だけでなく、このアプリで足りない場面も押さえておきましょう。
- 個別事情の判断:既存回答の抽出であり、顧客一人ひとりへの判断とは別物と読めます
- 条件の不明点:料金や対象プランの記載がなく、案内前に確認が必要です
- 制度改正への追随:更新頻度が不明で、最新の制度に沿っているか確認が必要です
- 情報の入力:個人情報を入力してよい範囲のルールを先に決めておきましょう
たとえば、「アプリで調べたから大丈夫です」と言う顧客に、個別事情の違いをどう切り出すか。言い方に悩む担当者も多そうです(筆者の想像です)。
税理士のChatGPT活用の注意点も、あわせて確認しておくと安心です。
西新宿のAI/DXコンサル、Cosmicoからのご案内
上記で紹介した事例やアプリは、当社の支援先ではありません。
株式会社Cosmicoは、東京・西新宿を拠点に、士業事務所向けの生成AI活用の相談を承っています。
顧客対応のルールづくりや、業務の棚卸しなど、お気軽にご相談ください。
よくある質問
freee確定申告のChatGPTアプリとは何ですか?
freee株式会社が2026年2月17日付で発表した、ChatGPT内で使えるアプリです。「@freee確定申告」と入力して確定申告の質問を送ると、税理士の過去の回答から該当する内容が示される仕組みと説明されています。
このChatGPTアプリの回答は、AIが新しく作っているのですか?
公式発表では、生成AIが新たに答えを作るのではなく、「税理士相談Q&A」にある1万件以上の税理士の回答から該当部分を探して示すと説明されています。更新頻度の記載はありません。
このアプリの料金や利用条件はどうなっていますか?
筆者が確認した公式発表には、対象プランや料金、利用条件の記載はありませんでした。利用を検討する場合は、freeeの公式情報で最新の条件を確認してください。
顧客がこのアプリで調べるようになると、税理士事務所の相談対応は変わりますか?
公式発表だけでは影響の大きさは分かりません。筆者の整理では、疑問が整理された状態で相談が来る場面が増える可能性があります。最終判断は税理士等の専門家へご相談ください。
税理士事務所が確定申告の業務で生成AIを使うときの注意点は?
公開されている寄稿では、対象外支出の判定や制度適用の可否は税理士が最終判断するとされています。顧客情報の入力ルールも先に決めておきましょう。
出典
- freee株式会社「ChatGPT向けアプリ『freee確定申告』を提供開始」(2026年2月17日付)(確認日:2026年11月6日)
- PR TIMES掲載のfreeeプレスリリース(同日付)(掲載を検索で確認/確認日:2026年11月6日)
- 新日本法規出版「AI時代の税理士事務所経営」(2026年3月19日掲載)(確認日:2026年11月6日)
本記事は公開情報の整理であり、個別の税務判断を示すものではありません。最終判断は税理士等の専門家へご相談ください。