Cosmico
2026年10月28日

税理士事務所の生成AI活用|伴走型支援の面談業務を公開事例から整理

顧問先との面談を重ねる伴走型の税理士事務所が、報告書作成や返信案づくりに生成AIを使う公開事例を整理。効果の数値が事業者の記述である点、限界の記載がない点、判断を人が担う分担も、事例と筆者の整理を分けて紹介します。

税理士事務所伴走型支援生成AI面談報告書AI活用実態
  • 2026年2月に、AI活用支援サービスの事業者が、京都の税理士事務所の活用事例を公開しています。
  • 紹介されているのは、面談後の報告書作成、面談前の準備、顧問先への返信案づくりです。
  • 事例では報告書作成が1時間から20分とされていますが、事業者の記述で第三者の検証はありません。
  • 導入時の失敗や限界の記載はなく、良い面が中心の情報として読む必要があります。
  • 本記事は公開情報の整理です。当社が取材・調査したものではありません。

情報の基準日:2026年10月28日時点

顧問先との面談を重ねるほど、準備と報告書づくりで一日が終わってしまう、という悩みは多いのではないでしょうか。本来は経営の話をしたいのに、手が回らない。そんなもどかしさはありますよね。

この記事では、公開されている事例を手がかりに、伴走型の税理士事務所で生成AIがどう使われているのかを整理します。

公開されている事例の概要

結論:2026年2月3日に、京都の税理士事務所の生成AI活用を紹介する事例記事が公開されています。

公開したのは、AI活用支援サービスを提供する事業者の公式サイトです。取材に基づく内容と注記されていますが、インタビューの一問一答ではなく、記事側の説明で構成されています。

紹介されている税理士事務所は、従業員20〜49名で、中小企業向けの税務支援を行っています。特長は、定期的な面談で顧問先と関わり続ける伴走型支援です。

ここでいう伴走型支援とは、決算や申告だけでなく、面談を通じて経営の相談に継続的に応じる支援の形のことです。

たとえば山田税理士(架空)が、顧問先との面談を続けて終え、帰り際に「あの相談、資料のどこに書いたかな」と手帳をめくる場面です。これは筆者の想像であり、事例の内容ではありません。

なお、本記事は公開事例の整理です。当社が事務所を取材したものではなく、内容は出典の記事が根拠です。

事例で紹介されている使い方

結論:面談の前後と、顧問先とのやり取りに、AIを「叩き台づくり」として使っています。

導入前の課題として、面談前の準備と面談後の報告書作成に、1社あたり合計約3時間かかっていたと説明されています。

事例記事に書かれている使い方を、表に整理します。

場面 記事に書かれている使い方
報告書の作成 面談内容の要約をAIに任せる。「1時間かかっていた作業が20分で完結」と記載
面談前の準備 データ収集と台本の叩き台にAIを使う。負担は「大幅に軽減」と記載
チャット対応 AIに返信案を作らせ、回答のトーンを統一する
専門用語の説明 顧問先の理解度に合わせて、噛み砕く使い方もする
評価面談の準備 スタッフがAIと壁打ちして、成果と課題を整理する

今後の予定として、NotebookLMなどによる情報の集約や、紙データのデジタル化も挙げられています。これは計画であり、実績ではありません。

たとえば佐藤税理士(架空)が、面談を終えた夕方に議事メモを見ながら報告書を打ち直している場面です。これは筆者の想像であり、事例の内容ではありません。

数値と限界の読み方

結論:数値は事業者の記述で、限界や失敗の説明がない点を前提に読みます。

事例記事には、次の数値が書かれています。

  • 報告書作成:1時間から20分(本文の記述)
  • 面談の準備と報告書:1社あたり約3時間(導入前の課題)
  • 面談前準備の負担:月間16時間以上(導入後の具体的な数値はなし)

公開元は支援サービスの事業者で、成果の描写は肯定的です。導入時のつまずきや、AIの精度上の問題についての記述は、確認できませんでした。

ここからは筆者の整理です。数値は「ひとつの事例の目安」として読み、自事務所で同じ作業の時間を測ってから比べるのが安全です。

使用している生成AIの製品名も、日々の業務については書かれていません。そのため、同じ環境を再現できるかどうかは分かりません。

たとえば山本さん(架空)が、「うちでも1時間が20分になりますか」と所長に聞かれて、答えに詰まる場面です。これは筆者の想像であり、事例の内容ではありません。

別の公開資料にある「人が残す判断」

結論:別の公開資料でも、承認と税務判断は人が担う分担が前提とされています。

ここは、事例とは別の事業者による解説の内容です。混ぜずに読んでください。

その解説では、会計事務所でAIが入る工程を、次の3つに整理しています。

  1. 読み取る
  2. 候補を作る
  3. 顧問先に聞く(質問文を作る)

そして、承認は担当者、税務判断と申告書の作成は税理士に残すとしています。あわせて、AIに渡す顧問先データの範囲を事前に決める必要があるとも述べています。

税理士による別の寄稿(2026年3月公開)でも、AIは作業を代替するが、責任と判断は代替しないという立場が示されています。

たとえば鈴木さん(架空)が、AIの作った返信案を読み、「この言い回しで税務上は大丈夫かな」と手を止めて、税理士の確認待ちに回す場面です。これは筆者の想像であり、事例の内容ではありません。

最終判断は税理士等の専門家へお願いします。税務上の具体的な扱いは、個別の事情によって変わります。

向いていない面と、最初の一歩

結論:書式や運用が事務所ごとにばらつく場合は、AI任せにせず、まず小さく試すのが現実的です。

筆者の整理では、次のような事務所には同じ使い方が向かない可能性があります。

  1. 面談の記録が、担当者ごとにばらばらの形式で残っている事務所
  2. 顧問先のデータを外部サービスに渡すことに、制約がある事務所
  3. 返信の内容に、個別の税務判断が頻繁に含まれる事務所

返信案のトーンが整っても、内容の確認は結局人が行うため、思ったほど手間が減らない、という戸惑いも想像できます。これは筆者の想像であり、事例の内容ではありません。

最初の一歩は、面談報告書の下書きだけなど、1つの作業に絞って試す進め方が無理がありません。

寄稿では、AIで生まれた時間を付加価値の創出に再投資できるかが将来を左右する、と述べられています。時間の使い道も、あらかじめ決めておくと良さそうです。

AI活用の進め方でお悩みの方へ

結論:どの業務から試すか迷うときは、外部に整理を頼む選択肢もあります。

上記の事例は当社の支援先ではなく、紹介した事業者のサービスも当社のものではありません。

西新宿を拠点にAI・DX導入支援を行う株式会社Cosmicoには、士業事務所から「どの業務から試せばよいか」というご相談が届きます。

状況の整理から始めたい場合は、AI戦略コンサルティングや生成AI活用の研修も選択肢の一つです。

関連する記事として、税理士事務所のAI活用事例の整理、税理士事務所の自作AI・OCRとQAボット、士業事務所での生成AI利用禁止・情報漏洩対策もあわせてご覧ください。用語は生成AIの解説が参考になります。

まとめ

公開されている事例では、伴走型の税理士事務所が、面談後の報告書作成や返信案づくりに生成AIを使っています。

一方で、数値は事業者の記述で、失敗や限界の説明はありません。承認と税務判断は人が担う形が前提になります。

まずは1つの作業に絞って、試してみてはいかがでしょうか。

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